続・ゴルフに見る人間模様 価値観

人間模様

タイ駐在8年目を過ぎた、2015年前後の話。

その方を「Eさん」とでも呼びましょう。ゴルフを通して人間性を観たというより、私生活を聞かされて「もうダメ」となった人。タイあるあるではありますが、それを嫌だと思う人間も居ます。

出会いと素性

取引のある材料メーカーの方が、年に一度気の合った方々に声を掛けミニコンペを開催していた。毎年声を掛けてもらい、日程が合わず参加していなかったが、この年は偶々空いていたので、初めて参加させてもらう事になり、その時にEさんと初対面で、且つ同じ組になった。S県にあるEさんの会社F社が、大洪水の翌年(日本の東日本大震災の翌年)2012年にタイ進出し(電子部品組立工場)、工場建設当時から立上げメンバーとして駐在しているとの事であった。

ゴルフ自体は、特段気になるような振る舞いは無く、ただ、慣れ親しんだ人には少し品の無い接し方をするので、仲間内のゴルフとなればうるさい(騒がしい)タイプかなと、そんな印象を持った。案の定、後日Eさんと親しくしている機械商社の知り合いNさん(同郷との事)に誘われてゴルフをしたが、まあまあ下品なゴルフであった。こちらから聞くまでもなく、タイに駐在している今の生活ぶりを語り始める。家族を日本に置いて単身で来ているのは私も同じで、生活の乱れ、特に食生活の乱れと健康管理が難しいのは共通するところ。ただ、そのEさんはお手伝いさんを住み込みで雇っているという。聞けば1ベッドルームで大した大きな部屋では無いようだし、食事はタイ料理が毎日出てくるわけでもなく、毎日外食、それも日本食レストランか居酒屋でお手伝いさん同伴でとのこと。では、お手伝いさんは何をやっているのかと思っていたら、何の事はない、お手伝いさんとは名ばかりで、現地妻として同居しているのだと。馴れ初めから現在の生活ぶり、月の手当ては日本円換算で10万ほど渡している、言葉は通じないが意思疎通は出来ているだとか、本人は恥ずかしげもなく話をしてくれた。聞いているこちらは少し嫌悪感さえ覚えた。多分駐在の手当て含め、自由に使えるお金が日本に居る時と比較にならない額であり、物価も思いの外安い、その為金銭感覚が麻痺し、好き勝手やっても暮らせる、結果愛人を囲う事になったのだと思う。Eさんと親しくしているNさんの話だと、1泊2日でゴルフ遠征時する時も、漏れなくEさんは愛人同伴で参加するようで、遠征先で浮気をされない様に見張るのが目的だとか。こうなっては、もはや愛人に憑りつかれているとしか言いようがなく、自由に遊んでいるはずが自由の無いガンジガラメの、息苦しいだけの関係では無いかと思った。駐在員の手当てと言えど毎月10万円は決して軽い額ではない。時間も金も握られている蟻地獄ではないか。それを本人が楽しいと言えばそれまでで、他人が正したところで、本人にしてみれば個人の勝手だと思っているのだから、言うだけ時間の無駄。取引先含め現地で愛人を囲っているという噂や話は聞いたことがあるが、そのような事をしている人から直接話を聞いたのは初めてであり、男として我慢出来ないのは分からなくもないが、実際やろうと思ったことは無い。家族の目が届かぬことを良い事に、好き勝手やって良い話ではない。また、駐在員であれば必ず別れが来る。日本との物価の差はあるにしても、その時に渡すものを渡さなければ、別れる時に揉めるだろうし、問題無く帰ろうと思っても相手が引き下がらなければ、収まりがつかないのではと思う。また、駐在員として或いは人として、品位を疑われる行動で会社の評価を下げたのでは、事業に影響を与えかねない。我が身を律して、会社を守る使命もあると考えていたので、Eさん自身と言うよりEさんの会社はずいぶん緩いんだなぁと思った。もしかしたら業績自体、たいしたことが無い或いは全然ダメなのではと感じた。後日この点が明らかになるが・・・

呆れる展開に

その後NさんからEさん含めゴルフやろうと誘われたが、どうしても人として受け入れたくない思いがあり、また、一緒に居て話をしていても、身になる有益な情報を持っている訳でもなかったので、しばらく断り続けていた。その間、NさんからEさんに対して、私が愛人を囲っているEさんに対して嫌悪感を抱いている事を聞いたようで、「辛抱が足らない人間でスミマセンね」と、Eさんが言っていたとNさんから聞かされた。同郷の好なのか知らないが、わざわざ伝える事ではないし、Nさん自身何を思い、何を考えてそうした余計事を伝えたのか、知らなくていい事まで伝える必要は無く、Eさん以上に嫌悪感を抱いた。当然疎遠になって行ったのは自然な流れである。

しばらくして、購買担当よりF社のSさんが営業で訪問すると聞かされた。まあ、Eさんが来る訳では無いので良しとして、購買の担当には適当に相手してやれと指示していた。後で知ったが、当日訪ねて来たのはSさんの他Eさん、タイ人マネージャーの3名。仕事を出すか出さないか別にして、一度F社工場を見て欲しいと言われ、あろうことかそれを受けてしまっていた。私の都合が付かなかったせいでもあるが、数か月ほど断っていたが、何度も連絡をもらったのと、一度見てダメ出しすれば諦めるだろうと思い、工場見学に出かける事にした。

工場見学

工場の印象は日系ゼネコンが建てただけあり、外観は立派であり結構な費用が掛かったのだろうと推測出来た。ただ、訪問時間を伝えていたにもかかわらず、正面入り口のゲートが締まっており、警備の人間も居なかった。ゲートは一か所しかなく入り口を間違えた訳でもないので、止むを得ず警備員が来るまでゲートの外で待った。運転手からF社に電話してもらい、警備員が来てゲートを開けてもらい入る事が出来たが、原因は総務の担当から警備員に伝えた時間が間違っていたというもの。二名居たようだが、二名とも持ち場を離れるって、既に嫌な予感しかなかった。正面玄関前に8台ほど入るカーポートがあり、その内5台は来客用のプレートが掲げられていた。当日は来客が多かったのか、一台も入るスペースが無く、裏の従業員駐車場へ車を止めるよう運転手に指示した。エントランスに入り目に付いたのは、床がベージュ系の導電タイルを施されている事。応接室に案内され、その通路も同じタイル張りで、聞くと社内の床は全て同じ導電タイル貼りになっていると。壁は薄い青色で、全体が清潔に見え、第一印象としては非常に良い感じであった。操業5年程度であれば、汚れも少なく、製造エリアもキレイだろうし、キレイな職場であれば作業も整然とされているだろうと、Eさんの印象に反して期待が高まっていた。一通り会社案内の説明が終わり、製造エリアの見学に向かった。建屋は日系ゼネコンが手掛けただけあり、作りはしっかりしている。床は導電タイルの貼付けで施工期間も短く、見た目も良いので誰もが採用したいところであるが、材料、施工費共に高額であり、建屋全体に施工するには二の足を踏んでしまう。が、建設時に施工するのは、工事費用が多少割高になっても、後で手を入れるよりはマシかもしれない。工場全体から見れば、工程の半分程度は自動機、残りは手作業、労働集約型に近い工場と言える。最終的には300名程度の規模を想定していると説明を受けた。自動機のエリアは設備で埋まっていて、機械の追加設置は無理な状態。手作業のエリアは半分程度の空きがあり、作業エリアの拡張に余地はあるものの、電子部品、加工用の材料、完成品が保管室に入り切らず、通路に木製パレットを敷いて置かれていた。導電タイルの上に木製パレットを敷き詰めるのは完全にアウト。導電タイルへのダメージが想定され、仮にダメージを受けてしまうと折角の導電機能が台無し。案の定、パレットを引き摺ったと思われる傷の他、ハンドリフトのタイヤ痕が散見された。また、トラックヤードと建屋内とを仕切る構造になっておらず、先ほどのハンドリフトだけに留まらず、フォークリフトも自由に出入りして、床の導電タイルに傷、汚れを付けている。床だけならまだしも、薄いブルー系のキレイな壁にも数か所、パレットの移動時に付けられた傷、穴が見られた。見学を進めるに従い、Eさんのイメージと会社のイメージが重なりつつあった。建屋の一部エリアは、柱と壁を一体で床から立ち上げた作りになっていて、どう見ても工場内の動線、レイアウトを簡単に変えられる構造にはなっていない。現状のスペースを考えると、我々の仕事を入れようと思っても、部品、材料、完成品のスペースが確保出来るとは言えない状況であった。敷地の70%以上空いているので、倉庫を建てれば対応出来るはずだと言われたが、その倉庫の規模感、工期、費用等どのように考えているか聞いたが、こちらの仕事量如何だと言うだけで、そもそも拡張のプランも想定もしていないと思われた。多分その場しのぎの説明だったのでしょう。通路に置いている部品等は、辛うじて空調が利いていて保管の体は成していたが、トラックヤードにまで置き切れないと思われる部品等が置かれていた。タグを見ると数日から2週間前のもので、中には厳しく温湿度管理を要求される電子部品も放置に近い形で置かれていた。トラックヤードの屋根一杯一杯迄パレットに積まれた部品等が置かれ、端の方にはシートを掛けて雨に濡れないようにしていたが、下の方を見ると何度か雨に当たり、砂交じりの汚れが跳ね上がった形跡が見られた。物量が増えても何ら手を打てていない状況を見て、もはや仕事を頼めるレベルでは無いと感じた。スペース以外にも、実際製造現場を見学して感じたのは、WIP(Work In Process:中間仕掛品)の多さと不自然な動線。元々WIP保管エリアに追加の設備を無理矢理設置したために、動線までも不自然になってしまったと説明を受けた。受注した(する)製品に対して、動線、レイアウトが自由に変更出来る建屋の構造であれば、生産体制が変わってもムリ、ムダの無いモノ作りが出来る環境にすることが可能なはず。また、作業者に関しても(特に手作業エリア)、製造エリアに入った途端一斉に顔を上げこちらを見る。いや、見ると言いうより睨まれた感が強かった。作業者の傍を通った時に、顔を上げずに作業していたが、明らかにこちらが気になるようで、手が止まっている作業者がほとんど。決まった時間内に、決められた数の加工をしなければならないはずなのに、顔を上げ、手を止めた時間はいつ取り戻すのか、それとも達成しなくても終わらせてしまうのか、加工賃を生業とする工場としては、相当ダメな部類に入る。製造エリアから部品保管エリアへ移動したが、作業者についてはここも似たようなもの。また、品質に影響の有る保管室の環境記録(温度、湿度、接地抵抗等)の一部が、2か月も前のものであり、前月からの記録が無いものがあった。これには案内したSさんも焦り、すぐさま担当課長を呼び出し是正するよう指示していた。っていうか、組織上この部品保管に関しては、Sさんの管轄であり普段何を管理しているのか、Eさんといい日本人が機能していない一端を垣間見た。この記録の問題に対応している間、トラックヤードを見せてもらう。屋根の掛かっている所には部品等で埋まっていて、トラックが入る余地がなく、屋根の外からフォークリフトで運んでくるしかない。見れば普通の光景であるが、フォークリフトのタイヤが静電対策用でウレタン系の材質で、屋外での走行には向いていない。加えてフォークリフトの運転手が着用している靴が、製造の作業者と同じ静電対策用のシューズ。それも相当使い込んだ色に変わっている。安全面でも非常に拙い話であり、それらの指摘に何も答えられず、ただただ気まずい空気が漂うだけであった。更にF社のモノ作りの姿勢に対する疑念が高まったといったところ。

重苦しい空気の中、応接室に戻り見学の感想など話をし、帰路に付く事にした。運転手に正面玄関来るよう電話で呼び、待っている間Sさんが「またマネージャー連中が勝手にカーポート使っている」と言っていた。到着時カーポートに駐車出来なかったのは、ルール無視して社員が占有していたせい。来工者が居て塞がっていたのでは無かった。なんでも、午後の来工者が居ると思わず、外に昼食を食べに出て、雨が降っていたのでカーポートに止めてしまったのだろうと。しかし、5台のスペース全部使うって、マネージャーは何人居るのだろうかと思ったし、彼らが全て車を持ち、揃って昼食で外に行くって、そんな偶然があるのか、真意の程は知らないが、残った印象はどこまでもグダグダな会社だなぁと。

経営体質

社に戻り購買担当には使えないと伝えたが、念のため直近の財務状況も調べるよう指示をした。結果は2週間後に、創業した2012年から5年分の賃借対照表(BS)と損益計算書(PL)、日本本社分と合わせて手元に届いた。日本本社は毎年1~1.5億円の黒字で、堅調な実績を出していたが、タイに於いては創業時から少ない年で2千万円、多い時で7千万円程の赤字を出しており、一度も黒字になったことが無かった(タイバーツを当時の円レートに換算して)。F社の説明では、日本本社は現在の会長が興した会社で、地元S県にある大手電機メーカーとの取引が始まり、現在では4社程との取引になっている。タイの方は、後継者である娘婿が会長に代わって社長に就いたのをきっかけに、周囲の反対を押し切り進出したとの事。本社は堅実に実績を出しているが、タイの赤字補填が慢性化し、待遇も以前ほど良くないため、だいぶ不満が燻っているとも聞いた。タイが利益を出せないのは、いくつか要因があるが、数字から見ると資産と売上の関係が非常に悪い。総資産回転率という指標で見ると、電子部品業界だと1~1.1が利益を出せる数値と言われ、F社タイに至っては0.40~0.43。目指した規模300名程の工場にしては無駄に広い空き敷地。土地を購入し、日系ゼネコンに因る工場建設。最新とまでは言わないが、そこそこ年式の新しい設備、効率の悪そうな作業と作業態度から数値が低いのは納得出来るが、それでも、ここまで悪いのにはもっと別の要因があるのではと思った。タイ人スタッフにも情報収集を指示していたので、そちらと合わせて考えてもみた。外資がタイに進出する際、独資では難しく、一般的には現地の企業と合弁にするか、現地の人間を役員にするかである。F社については合弁ではなく、現地の人間を役員にしていた。社外役員ならまだいいが、よりによってその役員を総務部GMとして常駐させていた。また、まだ200名にも届いていない工場に、製造部GM、8名のマネージャー、6名のアシスタントマネージャー、6名のスーパーバイザー、4名のエンジニア、他リーダー多数、高給待遇のタイ人日本語通訳など、会社規模に似つかわしくない組織、役職者数である。日本人駐在員3名含め、得た情報で試算する限り、人件費年間2億6千万円、売上は4億円弱。人件費比率65%。この業界で言われている適正値は20~30%。この数字だけ見ると絶対に黒字化は無理に見える。こう言っては何だが、この程度の規模で加工賃を生業とするのなら、自社工場で利益を出すのは至難の業。建屋(工場)、設備全てレンタルで始める方法もある。受注活動がうまく行かず、残念ながらタイ撤収となっても、傷口は浅くて済む。広い土地に日系ゼネコンが建設した豪勢な工場、高額な設備を設えて、返済と減価償却に苦しんでまでやる意味はどこにあるのか。よほど優良な顧客がタイに居て、進出時には必ず発注すると言うお墨付きでもあれば良いが。また、規模に合わない組織体制と役職者数。管理者はせいぜい3名、加えてGM職など不要。とはいえGM職に見合った仕事をし、見合ったリターンが有れば否定するものではない。しかし、この規模でGM職を与えてまでやる仕事ってなんだろうか。現状受注している加工内容を見ると、製品のコアな部品ではなく、サブユニットと言われる重要度から言えば低いランクの、それも工数の低い=安価な組立品と聞く。見学に行った頃の話を思い出すと、作業者のほぼ100%が残業をしており、同業他社より給料が良いので辞める人が少なく、募集を掛けると直ぐに集まるのだとか。とはいえ、この安価な加工賃で残業代も嵩んでは、利益を出したくても出せない構造である。また周辺の同業社からは、マネージャー、エンジニアを高給優遇するとして引き抜く行為も多々有り、F社の評判は決して褒められたものでは無かった。Eさんの愛人抱えている件も含め、社内統制グダグダ、やりたい放題の企業体質であることが、より明確になり予想を超える結果であったが、実状を知れば知るほど、関りを避けた方が良いと思うようになった。そして、財務状況からEさん以上に、問題はここF社のトップ娘婿である。赤字放置して何ら改善の手を打っていないように見える。タイ工場が長くは持たないだけではなく、利益を出し続けている日本本社の存続すら危ういと思った。社長になる以前は違う業界におり、製造業に初めて従事したのだと言う。会長の息が掛った人間のいう事はそこそこ聞くようだが、そうでもない人間は無視して、自分と気の合う人間かイエスマンを重用している為、会社の空気は決して良くないと。会長が健在な内は、本社をダメにさせることは無いと思うが、会長亡き後はどうなるか、もう先は見えたも同然かなと。この社長は、タイによほど愛着があるのか(人にしても国にしても)、それとも単なる経営音痴なのか、創業以来赤字で、日本本社に補填し続けさせて、一体何をしたいのだろうか。

赤字は大罪 そして当然の帰結

「赤字は大罪」と教わってきた自分にとって、違和感でしかない。初めて東南アジア進出した際に、創業年ですら赤字に対して役員の反応は厳しく、二期目から黒字にしたから良かったものの、もし二期目も連続で赤字だったら、当時の責任者は何かしらのペナルティを食らっていたはず。40年近く前の話なので、昭和色の濃い頃。ハラスメント、コンプラ等どこ吹く風、大罪を犯した者に同情の目が向けられることも無く、むしろしくじりのレッテルを貼られ、日の当たらない部署に送られるか、自ら去る決断をするかの道しかなかった。十数年後にその責務を背負う立場になった際、相当緊張もしたが、赤字になる理屈を理解出来れば、赤字になる事は無いと分かり今に至っている。Eさん、Sさんに限らず、というかそれ以上にF社娘婿社長は、赤字になる理屈と言うかロジックを理解出来ないまま、経営ごっこをしていたようだ。また、後日Sさんから聞いた話だと、日本側で90年代後半より取引している家電メーカーに海外進出の話をした際、タイ工場も有るので進出したら営業に行ってみれば良いと言われ、タイ進出を決めたとの事。土地を購入し工場の建設も終わり、その家電メーカーのタイ工場に挨拶がてら営業に出掛けてみたら、日本側で取引が有るか無いか、タイ工場は知った事では無い。当地での調達は十分賄えているので、新規で採用する事は無いとあっさり断られ、手ぶらで帰るしかなかった。もう後に戻る選択は無いので、他の顧客のタイ工場を紹介してもらい、工場を遊ばせておく訳にはいかないので、タダでもいいから仕事をくれと頼み込み、やっとの思いで一件受注に至った。その後、一度断られた家電メーカーの日本側タイ側双方に、何度も営業を掛けてサブユニットの受注に漕ぎ着け、現在の200名体制になったとの事。海外進出時に既存顧客を頼るのは致し方ないにしても、現地での受注が決まっても居ないのに、或いは確たる見込み客も居ないのに、出てしまうのは浅はかとしか言いようがない。子会社でもない一調達先が、海外出ますと言えばそうですかとしか言いようが無いし、行ったら向こうに営業に行ったら良いと言うのは、社交辞令でもあり普通の事。本心からタイに進出したら仕事を出すと言う訳がない。タイ工場の調達に関して大きな権限が有れば、その一言は大きな影響はあるだろうから、その立場であればむしろ慎重になり、口に出さない事の方が多いはずである。結局は、資本関係の無い他所の会社が決める事に、甘い話などしてもしようがないし、逆に期待されても困るだけの事である。F社というかその娘婿社長は、そうした甘えがあり、製造業特に電子部品組立に拘わって来なかった為に、大きな勘違いをしていたのだと思う。勘違いと言えばEさんであるが、F社見学から1年後くらいには帰任し早期退職されたようで。ただその後定期的にタイを訪れては、Nさん、材料メーカーの方とゴルフをしているようだった。タイを訪れる理由は旧交を深めるためではなく、愛人に会いに来るのが主で、ゴルフは二の次のようであった。聞けばその愛人、既に新しいパトロンが居て、Eさんとは何食わぬ顔をして会っていた。知らぬは本人だけ。知らない方がEさん本人にとって幸せであろう。目的はお金だった訳で、当然と言えば当然の帰結である。いいように金を搾り取られている、現地の日本人が陥り易い典型である。

F社娘婿社長にとってのタイ事業は本人だけの問題ではなく、以前にも引き合いに出した松下幸之助公の「企業は社会の公器」をよく理解して欲しいものである。己の価値観、悪く言えば欲望だけで済まされるものではない。他社の人間が言う事では無いし、F社の将来に全く興味も無いが。また、Eさんについても、本人が良ければ他人が口を出す事では無いが、価値観と言うにはレベルが低すぎる。しかしこうした日本人が、タイに限らず少なくないのも現実である。

タイ在任中はF社、Eさん、Nさんに限らずS県絡みで良い思い出が無い。尊敬する伯父さん伯母さんが他県に移られたものの、S県とは縁が深いので良いイメージしかなかったが、一部とはいえ、最悪のイメージに変わってしまったのは、残念としか言いようがない。機会が有れば他の件についても書き記していきたい。

 

参考

総資産回転率=売上高÷総資産

*総資産が有効に使えているかを表す指標。業種に因って差はあるが1.0が目安である。

人件費比率(売上高人件費比率)=人件費÷売上高×100(%)

*説明するまでも無いと思いますが、売上高に対する人件費の比率。適正値の目安は、一般的には15%程度、業種、規模に因っては50%以下と言われている。

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