基本料金についてある程度理解が深まったので、次に電力量料金単価について深堀をしてみたい。基本料金については電力会社の固定費分の一部負担であろうと自分なりに結論付けましたが、発電、送電、変電など利用者に電気を届けるまでにはまだまだコストが掛かるはずで、燃料代、維持管理、更新及び廃棄(廃炉)などの費用がどのように単価に含まれているのか、今回は電力量料金単価を中心に詳しく見ていきたいと思います。
1.電力大手10社のH.Pより電力量料金単価の現状
最安の関西電力と沖縄電力で倍以上の開きがある。他の地域を見ても差があるのは電源の種類、契約口数の違いが大きく影響していると考える。沖縄電力は電源のほぼ全て火力発電に頼っており、保有81機の内発電コストの安いLNGは2機のみ、それ以外発電コストの高い石油火力発電という事情が単価に影響しているのではと推測します。参考:沖縄電力設備詳細。
2.発電コスト
資源エネルギー庁から詳細が分かるデータが出ているので紹介します。
*資源エネルギー庁総合エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ発電コストまとめ
データから主な電源を抜粋しまとめたものが下表
用語について補足
資本費=建設費減価償却費、固定資産税、設備廃棄費用
社会的費用=CO2排出権を購入する費用及び原発などの事故発生時の補償費用など
廃熱価値=コジェネ、燃料電池に適用。発電コストを引き下げる価値として計算
政策経費=立地交付金、研究開発費用等
上記コストを参考に各社の発電コスト(円/kWh)を算出してみました。
大手10社の最大出力合計で発電コストを見た場合18.2円/kWhとなりますが、現状のボリュームゾーンと考えられる第二段階(120超~280か300kWh)の単価と比較すると1.1~3.3倍で地域によって大きな差がみられた(まとめたものが下表)。
資源エネルギー庁の試算した発電コストと各社のコストに差が出るのは予想していましたが、差異の小さい関西電力、九州電力は原発の稼働状況が他社より高いことが影響しているのではと考えます。2023年8月時点で関西電力は原発11機中5機稼働、九州電力は6機中4機稼働。他、四国電力も3機中1機が稼働しており、二社に続いて差異が小さくなっています。3社以外は合計すると33機あり、すべて停止中で原発以外の電源に頼らざるを得ない。また、安定供給するために新電力含めた他社からの継続的な調達も必要で、それらのコストが大きく影響していると考えるのが自然かと思います。
3.今回のまとめ
これまで電気代の基本料金は電力会社の固定費(減価償却費、人件費)、電力量料金単価は変動費(維持管理費、燃料代等)との認識だったが、発電コストの考え方として固定費が大半を占めており、また、燃料代も含んでいることを知り、電気代に対する理解は深まったと感じています。ただ、基本料金はどういう根拠で決められているのか更に興味が深まった。この先再エネ賦課金、燃料調整費等についてまとめていきますが、基本料金の根拠についても継続して調べていく予定です。
これまでいろいろ参考にさせて頂いた、電気料金従量電灯Bに関する情報について、電力大手10社のURL載せておきます。参考になれば幸いです。
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