電気代 燃料費等調整費-2

燃料費等調整費

財務省の貿易統計2023年12月分確報が2024年1月30日に出されたのに伴い、30日~31日に掛けて、電力各社から2024年3月分燃料費等調整費が発表された。

1.電力各社燃料費等調整費

燃料費等調整費一覧

補足:国の電気・ガス価格激変緩和対策事業を活用した料金となっている。2023年2月(2023年1月使用分)から2023年9月(2023年8月使用分)料金は7円/kWh、2023年10月(2023年9月使用分)から半分の3.5円/kWh。2024年6月(2024年5月使用分)には更に縮小され1.8円/kWhとなる。

1月以降の各社燃料費等調整費に大きな変動は無いが、変動率で見ると中部電力が△0.82→△0.31と62%↑で一番大きい。理由としては、中部電力の火力発電燃料がLNGと石炭への依存が高く、石炭はわずかながら下落傾向にあるものの、LNGは毎月1~3%上昇し続けている影響が顕著である。また、設定されている基準燃料費が45,900円と、他社に比べ(関電、九電除く)、35,000円程度安価になっている為、燃料費等調整費が低く算出される。

参考まで、燃料輸入価格(CIF)、市場価格、ドル円推移を掲載しておきます。

生活への影響

燃料費等調整費が生活に及ぼす影響を見てみると、2024年1月に対して2月は関西電力変わらず、他2銭から19銭/kWh上昇。2月に対して3月は、関西電力、九州電力変わらず、北陸電力、中国電力、四国電力が2~5銭/kWh減、他3~51銭/kWh上昇となる。

例えば月の使用量が300kWhとした場合、各電力会社の変動は、

北海道電力 2月料金は1月に対し51円↑、3月料金は2月に対し9円↑

東北電力  2月料金は1月に対し21円↑、3月料金は2月に対し54円↑

東京電力  2月料金は1月に対し27円↑、3月料金は2月に対し84円↑

中部電力  2月料金は1月に対し57円↑、3月料金は2月に対し153円↑

北陸電力  2月料金は1月に対し6円↑、3月料金は2月に対し15円↓

関西電力  2月、3月共に変わらず

中国電力  2月料金は1月に対し18円↑、3月料金は2月に対し6円↓

四国電力  2月料金は1月に対し15円↑、3月料金は2月に対し6円↓

九州電力  2月料金は1月に対し6円↑、3月料金は2月に対し変わらず

沖縄電力  2月料金は1月に対し51円↑、3月料金は2月に対し24円↑

電力会社毎に基本料金、単価が異なるので簡単に比較は出来ないが、毎月上昇傾向で目立たない変動ではあるが、ボディーブローのように家計に影響している。燃料調達価格は、直近では市場価格、ドル円の急激な変動が無く、動きは小さいものの、今後も高値傾向が続くとみられている。6月国の電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助金額、3.5円/kWhから1.8円/kWhとほぼ半減となる為、家計における電気料金の負担が増える事に変わりは無い。7月以降、国の電気・ガス価格激変緩和対策事業がどのようになるのか、具体的内容が見えていないので、利用者としては気になるところ。

2.原子力発電他、望む事

稼働状況

利用者の一人として個人的意見を書くが、自然への影響がまだまだ未知数な再生エネルギーよりも、当面既にある原子力発電所の活用を望むところ。ただ、稼働数が増えても電気料金が変わらなければ意味が無いが。

図は2024年1月24日時点の国内原子力発電所の稼働状況(経産省発表資料)である。

*図中のPWR、BWR、ABWRは炉のタイプを表しており、詳しくは次のURL(経産省の資料)を参照ください。https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_002.pdf

稼働状況と電力量料金を見てみると、稼働中の原子力発電所を持っている関西電力、九州電力、四国電力が他社よりは低く抑えられており、燃料費等調整費の変動も小さい。利用者として思う事は、自然災害の多い日本に於いて、原子力発電所が相当のリスクを持っている点は否定しないが、これまでの経験を生かした基準作り、見直しに因って安全レベルは上がっていると見ている。建設から廃炉迄の費用は既に利用者側で負担しているのだから、利用出来ないのは腑に落ちない。適格と判断出来るのであれば運転再開すべきであろう。太陽光発電、風力発電が拡大中であるが、安定供給、耐用年数、再利用(リサイクル)の観点から見れば未知数ばかりで、課題解決策への移行も道半ばとみている。誰の為の発電なのかスッキリしない部分が多い。また、自然災害に対して万全なのか、万全で無いにしても発生時の被害規模、その復旧に掛かる時間と費用はどの程度か、これから実際に発生しないと分からないのでは普及に対する疑念が残るだけである。普及有りきで政策が進められているようで、利用者の利便性、エネルギー自給自足(設備含め)が置き去りにされている感がある。

災害、そしてこの先

2024年元旦に能登半島で大地震が発生したが、風力発電の被害は報告されていなかったが、太陽光発電に於いては、金沢工業大学の調査で複数個所の被害が確認されている。詳細は下記URLより確認出来ます。

金沢工業大学

環境土木工学科 | 工学部 | 学部・大学院 | KIT 金沢工業大学

https://www.kanazawa-it.ac.jp/gakubu_daigakuin/kogaku/kankyo_doboku/20240110taiyoko_hatsuden_higai_gakka.pdf

日経BP報道

金沢工業大学関連 https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/03898/?ST=msb

ジャパン・インフラファンド関連 https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/03877/?ST=msb

再エネも重要な政策であり異を唱えるものではないが、最適解では無い。国連常任安保理であるロシア(本来の常任理事国はソ連でありロシアでは無いとの説も)、中国が現状変更を平然と行っていて、それを正当化している状況を見ると、エネルギーの自給率を高めなくては、万が一の有事の際、日本は守れるものさえ守れなくなってしまう。太陽光、風力にしても装置から自国製品の活用、蓄電器(池)等蓄電技術の深化、国産核融合発電実用化、メタンハイドレート実用化等により海外依存の比率を下げて行かなくてはならない。

テーマとは少し離れてしまうが、我が日本をこの先も日本として有り続ける為にも、活きたお金=税金の使い方をして欲しいと切に望むものである。

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