不可解なモノ その4 再エネ賦課金、燃料費調整

再エネ賦課金

今回は基本料金、使用電力量料金に加え、仕組み及び制度が少し分かり難い再エネ賦課金と燃料調整費について深堀をしていきます。

1.再エネ賦課金

資源エネルギー庁によれば、目的は「再エネの促進」。日本の電力供給をこれまでの化石燃料に頼った電源ではなく、自然の力などを活用した再生可能エネルギー、自国によるエネルギー自給率向上を図るその財源確保のために電力利用する国民から等しく徴収する費用の事。2011年8月、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以降“再エネ特措法”)が成立し、翌2012年7月施行され、再エネ賦課金の徴収も開始された。法律の全文は、資源エネルギー庁H.Pの法令・契約関係のサイトをご覧ください。

賦課金単価の計算式

賦課金単価=(買取費用-回避可能費用)÷販売電力量kWh

項目の説明

① 買取費用

買取費用とは電力会社が再エネによって発電された電気を買い取る費用で入札により決まる。FIT、FIPという2つの制度が存在している。再エネ特措法施行からFIT制度での買い取りがされているが、2022年以降FIP制度との併用、順次FIP制度に移行される予定であるという。

FIT、FIP制度について簡単に触れます。

FITとはFeed In Tariff(フィードインタリフ)の略でFeed Inは入れる、掛けると訳されます。Tariffは関税の他、料金表、運賃表と訳されるようです。FITは日本語で「固定価格買取制度」といい、Wikipediaによれば、再生可能エネルギーを導入した際のコスト負担を、買取価格に「入れ込んだ料金体系」という意味のようです。

FIPとはFeed In Premium(フィードインプレミアム)の略で、Feed InはFITで説明した通りで、Premiumは賞金、賞与、報奨金が主な訳で、他に割増金とも訳す(割増金は一般的にAdditional fee、Surchargeを使うことが多い)。つまりFIP制度ではFIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(割増金=補助額)を上乗せするもの。

② 回避可能費用

回避可能費用とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることが出来た費用をいう。例えば(思いつくものとして)燃料代、維持管理費など電力量料金単価に影響するものと考えるが、現時点では設備償却などの固定費は含んでいないとのこと。また、回避可能費用は2016年の電力小売り自由化を契機に、従来の発電に掛かるコストに基づいて算定していたが、市場価格連動へ移行している。こうした費用算定方法の見直しが進んでいるため、緩和措置の検討などもされている。回避可能費用激変緩和措置のリンク参照ください。

*販売電力量に関して、今回はしっくり来るデータが出せなかったので説明を割愛させて頂きます。

賦課金単価は、毎年、年度開始前に再エネ特措法で定められた算定方法で経済産業大臣が設定することになっており、2023年度は1.4円/kWhとなっております。資源エネ庁のH.P2023年度の賦課金単価を参照下さい。また、下図の再エネ賦課金の推移も合わせてご覧になって頂ければ。

2023年度の賦課金単価が下がった理由として、回避可能費用が前年度より大幅に上がったためとのこと(約2.5倍)。回避可能費用は既存電源の燃料である化石燃料価格に左右され、現在の世界情勢からみて、今後毎年度の賦課金単価に影響していくだろうとみられています。

2.燃料費調整単価

燃料費調整制度

こちらは再エネ賦課金よりはわかり易い料金だと思います。火力発電に必要な燃料である石炭、天然ガス(LNG)、石油の調達費用を3か月間の貿易統計価格より平均価格を算出している(1キロリットル或いは1トン当)。調達費用、発電設備構成等により電力各社で燃料費単価は異なります。

燃料価格や為替レートの影響を外部化し、経済情勢の変化を可能な限り迅速に料金に反映させ、事業者の経営環境の安定を図ることを目的としている。1996(平成8)年1月以降実施され、2009年(平成21年)に見直し期間が年四回(四半期毎)から、二か月毎に見直しできる制度になっている。

参考までに従量電灯Bで契約している場合の、2023年11月の各社の燃料費調整単価をまとめてみました。

調整単価は各社の平均燃料費用との比較で決まります。各社の平均燃料費価格をみてみます。

5~7月の平均燃料費は10月分の調整費となり、6~8月の平均燃料費が11月分調整費です。10月分より11月分が下がった理由として、貿易統計による輸入価格が下がったためとなります。

原油は微増ですが、LNG、石炭が価格低下。

直近の推移だとイメージが湧きにくいので、制度が始まる以前の1990年から直近までの燃料市場価格の推移をみてみます。*円換算済み

燃料の調達価格が円ベースでみると2000年以降上がり続けている状況が見える。調達という観点から見た場合、燃料代の市場価格だけではなく円相場も大いに悩ませる要因だと思います。燃料の市場価格と円相場の状況もみてみました。*石炭以外としました。

大きく動く燃料価格相場と円相場からして、調達する電力会社が安定した価格で電力供給するのは経営努力だけで出来るものではないのがみてとれます。あくまでも年ベースでの推移なので、毎月変動する価格に対応するのには、やはり燃料費調整という制度が必要なのは已む無しというべきか。

再エネ賦課金制度、燃料費調整制度を調べ電気料金の仕組みの理解が進んだと思う。電気代の節約に省エネ/節約とやみくもに行うのではなく、制度、仕組みを理解し燃料価格、円相場といった電力量料金に直結する情報を見ながら、事前に打てる手を考え実行することも大事なのかなと感じました。

次回は資源エネルギー庁、電力大手10社を中心に調べながら学んだことを整理し、そして電力各社の基本料金始めとする各単価の相違などに私見を交えまとめてみたいと思います。

 

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