自分を育てるもの 2-3

自力作善
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5Sの実践

前回に続いて4M(Man:人、Machine:設備、Material:材料、Method:方法)の観点から5Sの実践について、Man:人、Machine:設備までやりました。今回は残り2つ、Material:材料とMethod:方法について書き進めていきます。

3.Material:材料

モノ作りの場に於いて4Mが無ければ成り立たないと前回書きましたが、今回のMaterial:材料は、製品を構成し市場に流通する際に最も重要な要素になります。消費者ニーズを反映させるのは勿論ですが、販売する国・地域の環境・安全に関する法規制遵守は絶対であり、その為には材料選定から加工、組立、出荷に至る全ての工程で厳格に管理されなければなりません。一つでも規制に引っ掛かるような事にでもなれば、過去に遡って製品回収、補償しなくてはならず企業にとっては命取りになります。

Material:材料というと加工をする前の状態、例えばケース(或いはボックス)を作ろうとした場合、樹脂成形品なら成形樹脂材(ペレット)、金属製だとカットして折り曲げる、板状でロールになっている鋼板等を思い浮かべるかもしれません。しかし製造現場では、販売出来る状態の製品:Productを構成するユニット、モジュール等含め構成するモノ全てがMaterial:材料の区分に入ります。言い換えるなら材料=部品になり、当然ながらユニット、モジュールについても同じ事が言えます。モータを制御するユニットを例にとれば、ユニットには電源回路、制御回路等があり、それらを構成するのは電子部品、電子部品同士を接続する基板とはんだ、はんだ付け後重要回路の保護をするコーティング剤、製造ロットを特定するためのシール、シールに印字するインク等々、少ないもので200点前後、多いものになると数千点で構成される。製品としてカウントした場合数万点に及ぶのは珍しい事では無い。これらを無駄なく、法に従い使用していくのには、5S手法で管理していくのが合理的である。

 

整理:要るモノと要らないモノを分け、要らないモノを捨てる。

製品を仕様通りに完成させるには、構成リストに基づき必要数を必要なタイミングで手配する。手配したモノは同じタイミングで入荷する事は無く、使用するまでの一定期間保管する事になる。場所は倉庫という事になりますが、ここで「整理」を理解していないと、ムダなスペースを多く持ち、所要が増えた際にスペースが足りず、部品・材料の混入=>誤使用=>品質問題に発展する事が多々ある。生産のムダ、品質不良を大袈裟に言えば、倉庫の5S次第で低減させる事が出来る。

必要が有って手配するので、倉庫には基本要らないモノは無いと言える。

しかし、材料と言えるものは必要な数が欲しくても、最小発注数=MOQ(Minimum Order Quantity)という決まりがあるため、MOQが1,000個で契約すると、1個必要でも1,000個発注しなくてはならない。残り999個は次の生産まで在庫となり、使用するまで保管される事になる。使用頻度が高いのであれば問題にならないが、いつ使用するのかも分からず、最悪EOL(End Of Life)で再生産の予定が無ければ長期在庫:Dead Stock、要らないモノになる。長期在庫と言えども資産であり簡単に捨てられず、埃を被っても倉庫の一角に居座ることになる。スペースの無駄遣いも然ることながら、使用期限の有る材料だと、使用しないまま期限を迎え廃棄、処理費用も掛かるとなれば、長期在庫は「悪」である。ムダなスペース、ムダな費用を発生させない為に、発注量の適正化、MOQとの乖離が大きければ単価が上がってでも必要数に抑える。万が一、大量に長期在庫が見込まれる時には、転売先を確保しておく等、整理に向けた準備というか逃げ道を確保しておくのが賢明である。

売却、転用も利かないのであれば、最後は廃棄処分である。

発注の仕組みで、已む無く長期在庫になる部品・材料の整理は予見出来るものであり、計画的に処理を行えば大きな問題になる事は無い。しかし、社内の問題で長期在庫になった場合、同じように整理出来るかと言えば簡単な話では無い。

どのようなケースが自責の長期在庫になるかと言えば、経験上であるが、発注システム(MRP、ERP)の人的な設定ミスがそれである。

・MOQ数量設定ミス:1,000個を10,000個等

・単位設定ミス:個片pcsをシート(Sheet)或いは巻(Roll)、重量㎏を缶・瓶(Can・Bottle)等

・使用数設定ミス:1個の製品に使用する部品・材料の数量設定 正)2個或いは4g 誤)4個或いは8g等

これらは所要に対して数倍から10数倍の発注が掛かってしまう。息の長いモデルであれば、例えば期末の棚卸等で在庫の異常に気付き修正される場合がある。このパターンであれば工場として実質的な損害は出ずに済む。しかし、新製品特に新機能を持った製品の場合、生産開始間もなく設計上の問題が発見される事が多く、大概は部品・材料の変更が行われる。その対象となった部品・材料が設定ミスで発注されていた場合、他機種への転用が利かないとなれば長期在庫となる。営業的に市場の反応を見て所要数を徐々に上げる戦略なら、最初から大きな数は入れる事も無く、事態発覚時にも大怪我する事は無い。しかし、営業が前のめりで新製品への期待が大きいと、初めから大きな企画数を組む場合がある。調達側も不足すると全て短納期対応となり、それらの負担が大きくならないよう企画数プラスαで手配する。正しく手配されて長期在庫になったので有れば、設計側にその処理を任せる手もある。そうもいかず金額次第では、営業、設計、調達、製造の各部門が責任を逃れようと嫌な空気になる。システムに頼り過ぎて、人の作業に対するチェックが疎かになると発生するのは目に見えている。調達・購買部門には新規登録の際、実際の発注前に100セット程度の発注シミュレーションするよう手順を変更させ、事前にトライアルを行い、MOQ、単位、使用点数といったシステムの設定に誤りが無いか確認作業を行うようにした。それ以降は同様の発注ミスを減らす事が出来た。「整理」には直接関係する話では無いが、事前に「要らないモノ」を購入しない、予防策と言えるでしょう。

年末の事件

部品・材料は営業の見込み数字(Forecast)で手配を掛けるのが一般的で、営業も万能では無いので直前に所要が落ちたりもする。使用期限が無いもの、或いは長いものであれば何ら問題は無いが、化学品では製造後3か月~半年程度のモノが結構あるので、所要と購入のバランスが悪いと、使い切れず使用期限を迎える場合がある。タイに異動した翌年の2008年の暮れだったと記憶している。部品加工を委託していた工場で、使用期限切れのシリコン系ボンドを使用し、それを組込んだ製品の出荷検査でボンド自体が剥離してしまう不具合が見つかり、急遽、出向待ちのコンテナ数本を工場に引き戻して修理した事があった。調達先が言うには、在庫が多く廃棄するのが勿体ないので、期限切れ品を試しに使ってみたら問題なさそうだった為、使用出来ると判断したとの事だった。船便のキャンセルと一部空輸への切替え、陸上輸送、修理作業、製品の一部廃棄等の費用が掛かり、輸送費用に関しては年末という事もあり通常の3倍以上掛った。一言で言えば理解不足から引き起こした品質不良で、もし事前に相談でもしてくれれば、材料の手配をサポートするか、代替品切替えも検討出来た。締めてみれば2千万円以上の費用が発生してしまい、全額補償を求めたが、日本本社も資金に余裕が無く、最終的には空輸含めた輸送費用の一部を支払ってもらう事で決着させた。当然割に合う話では無かったが、そうでもしないと、翌年以降の供給が滞る可能性が有り、新たな加工業者も見当たらない為、已む無くこちらが譲歩した形。当該モデルは月平均15Kセット納品してもらっていたので、月売上の1/3近い処理費用。1セット当たりの使用量は2.5~3g、3g使用したとしても25円前後の材料費だったと記憶しているが、高い材料費となったのは言うまでもない。また、それ以降自社含め調達先全てに部品・材料の使用期限厳守の徹底と、使用期限の見える化(可視化)を要求し、整理=要らないモノ=使用出来ないモノについても確実に実施するよう求めた。対策後1年間は毎月、2年目以降は半年毎に実施状況を確認していた。使用期限の管理に関しては問題無かったが、3年経過した頃に別の問題が発覚し、市場に流通した可能性もあり、大変な騒動に発展。問題は整頓であったので、次の整頓の項で書いていきます。

 

整頓:置き場所と置き方を決め、いつでも使えるようにする。

三定

先ずは、どのような状態が整頓というのか、設備の項でも書きましたが、整理された「要るモノ」を、「置き場所」と「置き方」を決め、「いつでも使える状態」を言います。

整頓と切っても切れない関係にあり、大事な用語で「三定」というものがあります。ご存じだとは思いますが、「定位」「定品」「定量」の三つの定から来ています。定は「さだめる」「さだまる」という意味なので、定位は位置を定める、定品は品物を定める、定量は数量を定めるとなります。砕けた言い方をすると、どこに、なにを、いくつ、になります。

三定で重要なのは、それぞれ定めたら表示を行う事。具体的に言うと、

定位には番地(A-10、B-20等目的に合わせて任意に決めれば良いかと)

定品には一般名称(例えばネジ、電線)ではなく、唯一無二の品番、型番

定量には個数○○pcs、箱の数○○Box、重量○○㎏、缶の数○○Cans、等品物に適した単位

リスト、マップ等作成し、現場の見える化とQRコード等の管理ツール導入を進める事で、モノの出し入れで「探す」ムダが無くなり、また、慣れない作業者でもモノの出し入れが短時間で可能になる。時短、いわゆる省人化、省力化を図れる。

リコール騒動

顧客毎に担当を決める工場が多い。担当不在時だと受け入れ、収納、取出しといった作業が滞留する事が多く、決して効率的とは言えない。担当不在時に一連の作業が滞留し、不慣れな作業者が作業を急いだ事で、リコール騒ぎになった事例がある。電子部品の中にフューズというものがあります。定格電流値を超えると溶断(切れる)する、最悪人命、財産に影響を及ぼす重要な部品です(保安部品とも言います)。入荷当日担当が不在で、別の作業者が受け入れたのですが、正しくは、貼り付けているラベル二枚を読み取って、該当部品の棚に収納しなくてはならないのを、一枚だけ読んで判断してしまい、定格の違う場所に収納した。製品に定格より小さいモノを使用していれば、組立工程で二回電気試験があり、その試験でフューズが切れる為問題は工程内で発見出来、被害を最小限に抑えられたはず。残念ながら逆の大きい定格のフューズを収納してしまい、組立工程の電気試験でNGとならず、販売店倉庫に納品され、何台かは市場に出てしまった。この後はお決まりの回収・修理、地域も台湾から中東まで広く、回収出来ないモノは現地の代理店で対応し、出来ない地域は現地に数人送り込んで修理対応。終息迄2週間、費用1千万超。収納時にミスしても、取出した時、フューズ取付時、外観検査、出荷検査と四回は定格違いを発見出来る様になっていたが、残念ながら全て形だけの「やったフリ」作業になっていた。この後、人に頼る作業は予防しきれないと判断し、バーコードでの識別するように変更し、フューズメーカーには、定格毎に本体へ色違いのドットマークを入れてもらい、混入しても分かるようにした。

工程内の品質改善は日常的な活動を通して周知させていたが、間接部門の品質改善が手薄だったと大いに反省させられた事案だった。この件もあり、バーコード(後にQRコードに変更)での管理を進める良いきっかけになり、品質第一を掲げる経営側にも危機感を持ってもらい、一気に導入が進んだのは怪我の功名に尽きる。決して褒められた功名では無いが、品名、品番、型番照合作業がバーコード読み取りになり、作業のエビデンスを楽に且つ確実にデータとして残せるようになった。工程内に於いても、検査員が読み難い文字を苦労して読み取り、記録を付ける、時には読み違い、記載間違いといったヒューマンエラーの解消にもつながり、工数削減、ムダ取りという省人化、省力化を達成出来た。

倉庫にて

簡単に配置を換えて、整頓が出来るモノ(工具等)であれば実行は難しくない。しかし、仮に数千アイテム、数億~数十億点に及ぶ部品・材料を抱えている場合、一度決めたモノを、5Sの名の元で常に最適化させる作業は、正直手を付けたくない、手を付けたら収まりが付かなくなる。とは、何処も似たり寄ったりでは無いかと思う。その工数が有れば他に振り替えた方が、工場としては有益であると考える経営者・管理者が少なからず存在している。その為、無理な配置、置き方でムダを産んでいる事に目を背ける、或いは気付かないでいる。

*5S崩壊現場の実例 2題:これらの会社は6~7期連続赤字で、本気で立て直す気が無い、としか思えない。

部品・材料の保管エリアは工場レイアウト決定時に決まることが多く、事業拡大してもその延長で保管エリアに少し手を加えるだけで、効率的な在庫管理に程遠いレイアウト、動線になっている。よく見掛ける事例として、保管エリア或いは収納棚を、顧客別に仕切りその工程毎に保管する。顧客毎に担当が居て収納、取出し作業がスムースで効率的のように見える。しかし、よく見ていると回転率の高いモノと低いモノが混在し、場所に因っては空スペースが有り、別の場所では逆に何時もびっしり埋まっていたり、とても効率的な使い方に見えない。びっしり埋まっている場所でも、年一回使用するかしないか分からないような長期在庫、再度使用予定の無いEOL品までもが一緒に保管されている。

倉庫と言えば保管場所ではあるが、ただ置いているだけで稼げる訳ではない。前回工場の営業ツールの一つとして「空きスペース」を上げましたが、倉庫も同じで5Sを推進して空きスペースを積極的に作るべきである。長期在庫、EOL品を長く持てば持つほど管理コストは上がり、もし売却も転用も出来ず廃棄する事になれば、大きな損失を産む「ムダ」である。万が一、誤使用でもしたら品質事故につながる。持っていて何一つ良い事は無い。保管エリアが顧客毎に分かれていると全体量が見えない。整理(廃棄)するための、デッドストックエリアを設ける等して、回転している(流動中の)部品・材料が効率的に出し入れできるよう、状況に応じた配置が望ましい。倉庫に限らず、長期間固定されたレイアウト、動線は、何もしない思考停止の状態である。

*収納改善の事例:見ての通り、写真上=改善前(空箱と混在していてムダなスペースが多く、煩雑だった)、写真下=改善後(回転率の高い部品を品種別に収納し、見た目もスッキリ)。

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清掃:ゴミ、埃の無いようキレイな状態にする

フォークリフト・建屋

倉庫ではフォークリフト等で部品・材料、製品等をパレット、台車に乗せるか、梱包状態で積み下ろし作業する場合が多い。トラックから降ろしてそのまま搬入する事もあり(むしろその方が多い)、結果的に意図しない異物をフォークリフトに付け、建屋内に引き込んでしまい汚してしまう。トラックヤードがキレイであっても、トラック荷台とパレットに異物があれば防ぎようが無い。パレットが木製で、どこでどのような扱いをされたか、酷いものも紛れ込んで来る。どこに改善を求めて良いか分からないモノまで対応していると時間の無駄なので、倉庫内の荷捌きエリアの掃除頻度を上げるしかない。つまり汚れたら「後で」ではなく、即時掃除を行い汚れたら目立つようにする。「後で」は、汚れているから次の汚れも「後で」になり、どんどん広がり、落ち難くなる。汚れたら掃除、掃除が終わるまでパレットを置かない、を徹底させるしかない。フォークリフトは使用前使用後に、必ずタイヤの汚れをチェックさせ、汚れていたらきれいに掃除、汚れていなくても最低週一でキレイに拭き掃除か、洗剤使って水洗いを行う。フォークリフトのタイヤ痕、油脂類等の汚れが有ると、その汚れの一部はどこかに付着して悪さをする。タイヤ痕は消しゴムと同じで、削りカスがどこかに有るはずで、それが何かに付着する。削りカスの捜索は現実的ではないが、タイヤ痕が付く事自体異常と捉えるべきで、タイヤの空気圧低下、ベアリング摩耗等何か不具合を抱えているはずなので、作業を一旦止めて確認、事故・故障を未然に防ぐようにした方が良い。異常の早期発見ということである。もし倉庫内がタイヤ痕だらけで、故障・事故になってもいつからの不具合だったのか、原因が分からず対策も中途半端に終わってしまう。闇雲に倉庫全体をキレイにしようと思っても、何から手を付けたらいいのか分からず、意識も高まらない。先ずは使用頻度の高いエリア、使用頻度の高い機器をキレイに使う習慣を持たせる事で全体に波及させる。

掃除の際に損傷等異常が無いか確認するのはMachine:設備の項でも書きましたが、倉庫でも同じように、建物、収納棚等は勿論、保管している部品・材料も同様に、損傷、濡れ、荷崩れの危険等無いか、確認しながら掃除をします。加えて、東南アジアで良く有る事ですが、シロアリ、蚊、ハエ、クモ等虫の侵入についても注意深く見るようにして、見つけたら片付けるだけでなく、侵入経路の特定と、侵入出来ない様に処置をする事が必要です。虫が作業者か部品の入った箱に付いて、組立ラインに運ばれる事が稀に有ります。それが製品に紛れ込み死骸となって品質不良を起こす事も珍しくありませんでした。

静電気という厄介なもの

入念に欠かさず掃除を行っていても埃は付着する。付着の原因は静電気である。世の中の一般的な素材は、静電気が起き易いか起き難いかの差だけであり、基本帯電(静電気)する。帯電しているといくら丁寧に掃除を行ってもすぐに埃が付着する。倉庫で付いた埃が、生産ラインでそのまま組立てられては、外観だけでなく性能上も好ましい結果にならない。かと言って、生産ラインで組立て前にキレイにする作業が、有ること自体ムダである。要は倉庫で部品・材料に埃を付けない対策、前述した帯電を予防すれば良い。倉庫全体を対策しようとすると天文学的な費用が発生するので、ある程度絞り込んで講ずればいいと思う。電子部品を扱うエリアでは、埃も大敵であるがそれ以上に静電気自体部品を破壊する危険が有るので、帯電予防は必須である。作業服を帯電し難い材質にする、作業者の出入り口に帯電を中和させる装置(イオナイザーという装置)を設置、作業時素手はNGで帯電し難い材質の手袋を使用する。床、収納棚を帯電し難い材質にする(塗料で対応するのが一般的)等。定期的に帯電レベルの測定と記録。樹脂成型部品、梱包材特に段ボールは、電子部品と違うエリアに各々分けて収納する事で、埃の侵入、付着が低減出来る。埃対策で静電気の発生を低く抑える対策として、乾燥し過ぎない事。一般的に言われているのは、湿度40%以下で発生し易いと言われ、電子部品を扱う場合は40~70%で保管する事を推奨している。工場或いは大きな倉庫全体を、この環境にするのは容易な事では無いが、せめてエリアを仕切る等して、湿度調整が出来るようにした方良い。湿度調整しなくても、推奨されている値が保てる環境であっても、定期的な測定と記録が必要である。環境が保てていると思い込んで、実力値は外れていたなんて事は普通に起こる。エビデンスを残す事にもなるので記録は必要である。一番手が掛からないのは、自動記録計を設置する事。省人化、省力化にもなる。

清潔、躾

工場に於いてMaterial:部品・材料は直接製品の品質、コストを左右し業績に大きく影響する重要な要素である。5Sを軽んじればどのような事が起きるか書きましたが、5Sの目的を理解させ3Sを徹底して実施する事で、ムダは最小限に収まる。見た目、外観がキレイで整っている製品は品質不良が少ない。また、清潔でキレイな職場から、汚れた製品が出来る事は稀に有るかもしれないが、汚れた職場からキレイな製品が出来る事は、ほぼ100%有り得ない。清潔に保つ習慣を、会社の文化と言えるよう経営者、管理者が先頭に立って、諦めずに推進する事が肝要。作業者、担当任せは放置であり、放棄である。

 

Method:方法

4つ目のM、Method:方法は、仕組み、ルール、手順等であり、要求事項に対する成果を如何にして出すかを制定し、忠実に実行させる為のものだと思う。ここでの5Sは人、設備、材料といった形の有るモノに対してというよりも、考え方と行動という事になる。考え方、行動何れも目的を理解していないと、決められた手順を守らず品質不良、設備故障などの問題=ムダを発生させてしまう。決めた仕組み、ルール、手順が守られない要因として、無理が隠れている事が多い。良かれと思い決めた方法であっても、指示通りに作業しないと作業者の問題と捉えがちである。作業性、作業環境にムリ・ムダが無いかを冷静に検証すべき。作業テーブルのサイズが合っていない、左利きの作業員に右利きの工具を使わせる、加工する材料と工具のサイズが合っていない、等はムリな作業で適正な方法ではない。

Method:方法の考え方、制定、文書化についても、必要なモノを、必要な場所に、必要な数を揃えるというのは大事であり、5Sに基づく考え方である。

5Sのまとめ

5Sは一部の作業者、担当者で行うものではない。5Sは工場、いや企業が企業足る為の基本である。経営者、管理者が先頭に立って推進し、「諦めず」「直ぐに」を肝に取組めば成果は出る。社内に「後で」の考えが1ミリでもあれば、簡単に堕落してしまう。5Sの乱れている職場では、気持ちも荒み人間関係にも良い影響は与えない。5Sの整っている職場環境は、気持ちが引き締まり、効率的に作業出来る。

現役の頃、やり過ぎではと思われるくらい5Sをやってきた。考え方も5Sベースで、生き方そのものが5Sと言っても過言ではない。これからの人生、いつ、何が起きるか分からない。これからも日々5Sを心掛け、迷う事無く静かな気持ちで過ごしたいものです。

 

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